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第11話:『東北学』ふたたび

311の東日本大震災は、その日を境に「震災前」「震災後」と否が応でも時代を区分されたわけで、その歴史的な衝撃は一生忘れることはないでしょう。それと、ふるさと東北を今まで以上に意識させられました。

ここ数年、東北芸術工科大学の赤坂憲雄教授(現在は学習院大学教授)が提唱している『東北学』に関心をもっています。京都の歴史はたかだか1千数百年。それに比べ東北は1万年を超える長きにわたって、縄文の精神が流れている―そんな視座が当に「東北学」の真髄であり魅力です。発信している「東北文化センター」の設立宣言には、最後こんなくだりがあります。

「この東北こそ、日本に残された最後の自然―母なる大地―である。現代文明の過ちを克服し人間の尊厳を取り戻す戦いの砦である。」

少々大げさにみえた文章が、震災後に読み返すとリアリティをもって胸に届きます。「現代文明の過ち」は当に福島を中心とした原発事故そのものです。「文明の事故」は不幸にも東北を舞台にして起き、ついには日本人全体に課せられた十字架のように今や立ちはだかっています。

赤坂憲雄と7賢人との対話『東北ルネサンス』には、井上ひさし、中沢新一、谷川健一、高橋富雄などの対談を掲載しています。なかでも日本の近代化は絶えず東北を犠牲にしてきたと指摘していた井上ひさしが、もし生きていていたらこの状況をどうコメントしていただろうかと思いを馳せます。被災地の復興を願いながら、いま読み返すと新たな東北の在り方がみえてきます。

※赤坂憲雄『東北学/忘れられた東北』講談社学術文庫(09年)
※赤坂憲雄編『東北ルネサンス』小学館文庫(07年)
※赤坂憲雄共著『東北再生』イースト・プレス(11年)
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