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第138話:ツボ「陽池」と「委陽」

◆三焦経に関連したツボ◆
今回は三焦経に関連したツボ「陽池(ようち)」と「委陽(いよう)」の二つを紹介します。「陽池」は臓器の陽気を高める効果があり、「委陽」は浮腫(むくみ)などに水はけを改善するツボとして使います。「陽池」は三焦経のツボ。一方「委陽」といえば膀胱経のツボでありながら三焦経の下合穴(しもごうけつ)と呼ばれるツボです。
「実体のない腑」と呼ばれる「三焦」を説明した上で、これら二つのツボについて順を追って紹介します。

◆「三焦」とは
「三焦」の経絡である「三焦経」は手の薬指(第3指)から手の甲を通り、前腕・上腕の後側を通り、肩から耳の周りに至る「手の経絡」です。ツボは項(うなじ)で終わっていますが、その前に支流として胸部(上焦)、腹部(中焦)、下腹部(下焦)へと連絡しています。この上中下の「三焦」へ広範囲に連絡していることが大事なポイントです。
そこで「三焦経」を考えるには、「経絡病」と「臓腑病」のふたつの面から捉えます。

まず「経絡病」であれば、経絡が走る部位の疾患に関連するということ。たとえば五十肩や頚腕症候群などの上肢の痛みや、または耳に関連した眩暈や耳鳴りなどの症状が、三焦経のライン上が最も反応を顕著に呈するようであれば、三焦経のツボを選穴します。

次に三焦経の「臓腑病」としての側面を考えると、これがなかなか「実体のない腑」という特異な存在であるために、歴代の医家が「三焦学説」として諸説様々に語られてきた経緯があります。そのなかで、わたしが採用している学説は「三焦は臓器の陽気をつかさどる処でありこれを『三焦の原気』と呼ぶ」というものです。

三焦の「焦」は「焦がす」という字。それは「火」であり「陽気」を示します。身体の3か所「上焦」「中焦」「下焦」にある陽気全体を統率しているのが「三焦」の役割です。「上焦」には「心陽」、「中焦」には「脾陽」、「下焦」には「腎陽(命門の火)」というように、各臓器にそれぞれの陽気がいわば熱エネルギーとして生命活動に係わっています。それらを下支えしているのが「三焦」ということになります。

◆ツボ「陽池」=陽気を高める


「陽池」は写真のように、手の甲にあるツボで、薬指と小指の間を指でなぞって止まる処です。陽池は三焦経の中でも「原穴(げんけつ)」と呼ぶ大事なツボです。原穴はもっとも臓器にはたらくツボですから、陽気全体を統率する「三焦の原気」がもっともはたらくツボとなります。したがって「陽池」というツボは陽気不足の症状に使われます。

たとえば、胃癌の術後に消化器系が十分にはたらかず、腹部をはじめ足腰が冷え切ってしまうケースがあります。中焦の「脾陽」がよわいばかりか足腰を温める下焦の「腎陽」にまで影響があるという状態です。そうした症状には「陽池」にお灸(透熱灸5~7壮)を施します。
また、心臓機能が衰えて「心不全」の様相が見受けられるケースです。上焦の「心陽」がふるわないと、肺に水が溜まりやすくなります。そこまでの重篤なケースに至らないまでも、心臓のはたらきが弱そうで身体の冷えが認められるときは「陽池」にお灸(透熱灸5~7壮)を施します。
鍼でもよいのですが、陽気不足による冷えの症状には、お灸の方がより効果的です。
このように、身体を温めるエネルギーが明らかに不足している症状群には、『三焦の原気』を高める「陽池」のツボを使い、さらに毎日自宅で施灸してもらうように指導しています。

◆ツボ「委陽」=水はけをよくする


「三焦」のはたらきでもうひとつ大事なことは「水分代謝をつかさどる」ことです。これは先の「三焦の原気」が衰えると冷えとともに水はけが悪くなり浮腫(むくみ)を呈しやすくなる-という説明もできるでしょう。

そこで登場するのが、浮腫(むくみ)に効果がある「委陽」というツボです。「委陽」は三焦経の「下合穴(しもごうけつ)」と呼ばれますが、写真のように膝の裏外側の窪みに位置している、そもそも膀胱経のツボなのです。この「下合穴」というのは「足の膀胱経」のツボに「手の三焦経」の役割を代行的に託したという意味になります。

たとえば、膝に人工関節を施した術後で、膝周辺の浮腫が顕著なケースです。「委陽」に施灸(透熱灸5~7壮)すると、治療を終えて帰るころには、足が幾分細くなったのが靴を履く時点で実感するといわれます。そのくらい即効性を発揮することがあります。
また、耳周りの三焦経に反応が顕著に現れている「突発性難聴」とか「耳鳴り」のケースでは、三焦経上が水はけの悪い印象をもちます。そのときは三焦経の外関というツボに瀉法の鍼をしてから、「委陽」に施灸(透熱灸5~7壮)をすると、一定の効果が得られます。
このように、浮腫を呈するなど所謂「水はけがわるい」症状群には、ツボ「委陽」への施灸をお勧めします。(了)
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