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第186話:「酒田の修験道」との出会い、まるで「デジャブ」のように


                           【酒田駅構内】
◆少年の冒険
わたしが小学4年生のときです。小学校の傍を新井田川という川が流れていて、その川岸に寄り添うように、「生石街道」と呼ぶ「道」が東の出羽丘陵の方へ真っすぐ延びていました。普段の生活圏とは逆の方角だけに、頭の中では「この道の先にはいったい何があるんだろう?」と、絶えず好奇心を膨らませていました。ついにはその臨界点を超えると抑えきれなかったのか、ひとり自転車に乗り未踏の地へと出立となります。とはいえ小学4年生の「冒険」は、田んぼに囲まれた道を自転車でひたすら走るだけの旅。なんとか5キロ程走ったのですが、道は出羽丘陵にぶつかり行き止まり。そこがちょうど生石(おいし)という集落でした。そこから山道を駆け登る気力はなく、疲労した大腿四頭筋をかばいながら、帰りのことが少し不安になってきます。結局、そこで何をしたというわけでもなく、そのまま自転車で踵を返すように帰還したのです。ただそれだけことなのですが、ささやかな「冒険談」を誰に話すわけでもなく、自分の胸にしまいこんでいました。

◆再びの「生石」
それから55年の歳月が流れた昨年8月末のこと。その「生石」に再び訪れることになろうとは、誰が予測できたでしょう。とにかくびっくりすることが起きました。
それは羽黒山での「山の行(仏式)」(8/24~9/1)に参加したときのこと。あいにくの豪雨続きで、主催者が急遽予定を変更して、半日だけの社寺を巡るバスツァーを組んだのです。庄内地方でかつて修験道に所縁のあった社寺を訪ねるというもので、そのひとつに選ばれたのが、生石にある「延命寺」。そして「延命寺」の西に位置する標高352mの「鷹尾山」は、かつて「鷹尾山修験」が栄えた山でした。「鷹尾山修験」は、鎌倉時代の初期から存在した修験道ですが、16世紀の中頃、上杉氏によって弾圧され、消滅してしまったのです。羽黒修験や鳥海修験であればある程度は明らかにされています。ところが「酒田の修験道」となると、まだ分からないことが多いのです。その代表ともいえる、歴史の闇に隠されてしまった「鷹尾山修験」を、わたしは2度目の生石探訪を以て初めて知ることになったのです。と同時に、ここは小学4年のときに来た「生石」だ!と、まるでデジャブのように記憶が蘇ったときは、思わずゾクゾクッと胸がざわついたことは言うまでもありません。

◆『酒田市史』によれば
東京に帰ると、「鷹尾修験」のことがどうしても気になって、永田町の国立国会図書館に足を運び、酒田市の正史ともいうべき酒田市史編纂委員会による『酒田市史』(デジタル版)をモニター越しに閲覧し調べました。「酒田の修験道」という項目を検索して読んでみると、「鷹尾修験」についての概要は理解できましたが、詳細部分となると未だ不明のところが多く、歴史資料が極めて少ないという事情が読み取れます。
それでもただひとつ、どうしても気になる箇所を見つけました。

「鷹町の稲荷神社に本地として十一面観音を祀り、鷹尾山金剛寺と称して信仰を得ていたことが棟札に残っている。これは生石山善勝坊金剛院延命寺を別当とする鷹尾山修験の流れとも推定される。」とあるのです。

実はここに記載された「鷹町」こそが、わたしの実家の所在地の旧町名であり、そこの稲荷神社は我が家の氏神様であり、わたしが子供のころによく遊んだ場所なのです。つまり(推定の域ではあるにしても)消滅してしまったかつての「鷹尾修験」の本地仏である十一面観音が祀られた稲荷神社の傍で、わたしは生まれ育ったということになり、小学4年生のときには、なぜか引き寄せられるように、所縁とする鷹尾山方面に、ひたすら自転車のペダルを踏んで向かっていたのです。その推察が確かなことであれば、まるで「灯台もと暗し」を絵に描いたような、実は身近なところに「ご縁」があったということになります。

「ご縁」に繋がることや、「ご縁」の在り様が見えてくることを、仏教の世界では「因縁が熟す」とか「時節到来」と謂うそうですが、これが「山の行」に身を投じたことによって動き出したものであれば、本当に有り難いことだと思っています。
いずれにせよ「酒田の修験道」の歴史と、わが身に降り注いだ歴史ミステリー?の解読は、これからも続けていくつもりです。(了)

※酒田駅構内の写真:
「獅子頭」は酒田祭りのシンボルとして何気に使用しているが、「獅子舞」は元々「修験道」が生んだ芸能のひとつ。そうした経緯は全く忘れ去られている。左の広告「酒田カントリークラブ」は鷹尾山を造成したゴルフ場。現在は経営が代わり「ゴルフパーク酒田」になっている。

※追記:
あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。
昨年11月よりfacebook「進藤安神堂」を開きました。併せてご覧ください。
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