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第197話:「ぎっくり腰」に「ひとりモビライゼーション」



◆「ぎっくり腰」わたしの場合
ご多分に漏れず「紺屋の白袴」というんでしょうが、わたしは「ぎっくり腰」を年に1度はやります。痛みのために動作制限を生じると中々自分では満足な治療は施せず、結局、全治までほぼ1週間、酷い時は完治まで1か月も要したこともありました。自分で自分の身体を治療することって中々難しいことです。そんな中でも、最近のことですが、思いのほか上手くいった「セルフキュア」のひとつ「ひとりモビライゼーション」を紹介してみます。

◆そのときの状況を説明すると・・
某月某日、朝一番の患者さんの治療中に、右の腰部に「ペキッ」と魔女の一撃というべき「ぎっくり腰」を食らいました。患者さんには気づかれないように、まずは呼吸を整えて刺鍼を済ませ、置鍼している間中、カーテンの外で、さっそく「ひとりモビライゼーション」を施したのです。
この時の腰部の状況を説明すると、ウエストライン中央から右側にかけ、解剖学的には多裂三角と呼ばれる部位の靭帯と筋肉がスパズム(拘縮)を起こし、そのスパズムは骨をひっぱるほど強いため、骨盤の右腸骨がやや前傾している状態です。

◆とっさの「ひとりモビライゼーション」
モビライゼーションとは、米国の理学療法で使われている関節運動療法。通常は治療家が患者さんに施す他動運動なのですが、この場合はセルフキュアとしての自動運動であることから「ひとりモビライゼーション」と呼ばれています。
痛い右側の脚を椅子に掛け、ゆっくり前に体重を移動して、右腰部をストレッチしていきます。この場合、右側の脚を椅子に掛けることは、股関節を屈曲することで骨盤の右腸骨を後ろに傾けることができるわけです。つまり、骨盤の右腸骨前傾という歪を、後傾により戻しながら、尚且つスパズムを起こした多裂三角部位の靭帯と筋肉をストレッチする-というのがこの「ひとりモビライゼーション」の大事なポイントです。

◆効果の程
するとどうでしょう、緊張していた右腰部のこわばりが徐々に弛んでいくのが分かります。魔女の一撃の置き土産というべき腰の不安定感が、これで半分以下に減少したのが実感できます。その後は、治療ベッドを高めに設定して無理のない姿勢を確保し、休み時間でも絶対椅子に坐らないようにして、仕事はそのままなんとか無事続けました。帰宅してからは、腰部に円皮鍼を6カ所(大腸兪・関元兪・腸骨点)付け、その上に冷湿布を貼付して静養。その結果、坐ると腰が痛くなる、朝起きて腰を伸ばすと痛い、という症状群が、2日目の午後にはほとんど消失していました。今回のように、傷めた直後の「モビライゼーション」は初めての体験でしたが、思いのほか効を奏してむしろ驚いているところです。

◆むすび
「ぎっくり腰」の様相を考えると、はじめに一部の筋肉が急にスパズムを起こし、そこから周辺の他の筋肉へとドミノ式にスパズムが拡がるものです。今回とっさに取り入れた「ひとりモビライゼーション」は、当該筋肉/靭帯を的確に弛めることで、いわば初期消火としてはたらき、結果、周辺の筋肉群への影響拡大を抑えられたことが、効を奏した一番の理由かなと推察しています。
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