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第26話:本物にふれる

昨年4月から就職と同時に家を出た娘から、珍しく相談をうけました。「12万円のギターを買いたいのだけどどう思う?」という内容。どう思うっていわれても自分で稼いだお金で買うのだから別に親父に相談することでもないよと思ったのですが、彼女にしてみれば生まれて初めての大きな買い物。彼女にとってはたぶんルビコン川を渡るような決意だったのでしょう、だから背中をおしてあげるように「いいんじゃない」とこころよく応えてあげました。

そもそもアコースティックギターの弾き語りを趣味とするようになったのは、3年前の誕生日に私がギターをプレゼントしたのがきっかけ。安い中国製のビギナー用のアコースティックギターセットで確か7000円でした。上手になってもっと高いギターがほしくなったら自分で買うんだね、と私はいったと思います。

それが意外と早く訪れたわけですが、娘がいわくそのきっかけを作ったのは、超すごいギターに遭遇したからとか。保育園時代からずーっと友達であるU美ちゃんの誕生パーティーで家にいったときのこと。U美ちゃんのお父さんがもっていた30万円もするアコースティックギターをたまたま借りて1曲唄ったら、そのきれいな音色と深い響きにおどろき、同じギターでなんでこんなに違うのか!と衝撃を受けたそうです。

そうなると思いはとまらず、娘が追っかけのようにいつもコンサートに出かける大好きなミュージシャンがもっているギターと同じものがほしいとなるわけです。だけど米国製の有名なMartinとかGibsonなどは何十万円もしてそうそう手が出ない。するとそのミュージシャンのコレクションにオーストラリア製のMini Matonというミニギターがあり、それを調べると何とか手が届きそうな12万円。ついに彼女はそれに白羽の矢を立てたというわけです。

いいものとか本物って、単に人から与えられるだけではその価値はわからないもの。職人的な生業と自負している鍼灸師としては、これは経験上よく理解できます。あくまでも自分の技術が向上していく中で、本物なりの道具に出会って初めてほんとうの価値がわかるものです。娘にとってはそれがギターだったとはいえ、きっと貴重な経験をしたことでしょう。たかが娘の買い物ですが、なんだか相談されてうれしくなるのはやはり親バカでしょうか。
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