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第01話:スーパームーンと身体



5月6日(旧暦:閏3月16日)の満月は、大きさが通常の30%増量のスーパームーンでした。それは地球と月の距離が最短になることで、より大きく見えるということ。ある患者さんは「不気味なまでに大きかった」と表現されていましたが、確かに、美しさの中にも得も言われぬパワーが潜んでいたと感じた人はいたようです。というのも、6日前後に「やる気がでなくて気分が塞いでいた」という患者さんが3人もいました。それはこのところの天候不順の正体である低気圧のオンパレードによる影響はあるでしょうが、それにも増して月と地球の引力とか磁力の加減によるものが当然あって、その結果気分が塞ぎがちになったと推測しています。

解剖学者の三木成夫によれば、女性の子宮はひとつの惑星のような器官だから、月の満ち欠け(月齢)と感応しながら月経(メンス)が訪れると指摘しています。確かに女性の月経は満月に多いし、そもそも月経を古来より「月事」とか「月のもの」と呼称されるのもむべなるかなです。

英語でルナティックというときは、たいてい月のせいで気が変になっているという意味になる。実際うつ病の患者さんで、満月になると気分が塞ぎがちの人はいます。かといって満月を病的な気分だけにとどめないところも、実は日本人の独特なスタイル。たとえば中世では「月狂い」となると、そこに「わび・さび」が加わって和歌がうまれる。季節のうつろいの中での月の満ち欠けとその美しさに、微妙な気分の変化を感応しながらうまく受容するというのか、とにかく日本人には自然と感応すべき鋭いアンテナが備わりつつ、それを楽しむすべもしっかり備わっているということです。

30%増量のスーパームーンと対峙して、気が塞ぐ人もいればその美しさにぞっこん魅了される人もいます。それは自然と対峙して身体の中にある小さな宇宙が、大宇宙とそれぞれ感応していることにはかわりないこと。むしろそれを実感していること自体がとても大切な身体感覚だと思っています。

天の海に雲の波立ち月の船 星の林に漕ぎ隠る見ゆ  (万葉集1068・柿本人麻呂)
行末は空もひとつの武蔵野に草の原より出づる月影  (新古今集422・藤原良経)
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