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第45話:開放系の「臓腑経絡システム」

◆臓腑経絡システム
ツボ(経穴)をつなぐラインである経絡(けいらく)とは、足に6本、手に6本の計12本あります。経絡にもとづく身体観では、内臓の生理的機能はすべて体表面における経絡の機能に還元して捉えられます。つまりそれぞれの経絡は関連した内臓に連絡してネットワークを組んでいます。この統合的システムを「臓腑経絡システム」と呼ばれ、いわゆる気の循環系です。

西洋医学と比較すると、東洋医学の身体観の特徴は、身体内部のメカニズムについて十分な解剖学的分析をしないところにあります。これは逆に、東洋医学が一種の「体表医学」、つまり皮膚表面への施術を臨床の基本にしてきたためです。方法論的観点からみて、皮膚を基本にして身体を捉えるという身体観が、東洋医学の最大の特徴です。患者さんの皮膚表面に対して、治療家の眼差しの先には、たえずツボと経絡があり、その反応から内臓の生理的機能を窺い知るのです。

このように身体機能の捉え方は、西洋医学の身体観とは大きく異なっています。診断と治療の対象となる、この「臓腑経絡システム」について、その基本的特質はどこにあるのでしょうか。それが今回のテーマです。

◆インターフェースとしての「井穴」
まずここで注目したいのが、身体と外界の関係です。各経絡の末端は手足の先端になっていますが、気の流れは、この先端にあるツボを通じて外界と交流しているものと考えられています。手足の先端のツボを特に「井穴(せいけつ)」と総称しています。「井」には「泉が湧きでる」という意味があり、まさに気の流れがそこで出入りする様を表現しています。
具体的に、手の6本の経絡を例にして説明します。



爪の横に●印を付けているのが、各経絡の「井穴」です。親指(第1指)から薬指(第4指)まで各1か所あり、小指(第5指)には2か所あります。ここで手の経絡には「陰経」3本と「陽経」3本に分類されます。「陰経の井穴」は経絡の終点になり、気の流れはそこから外に出て(OUT)いきます。逆に「陽経の井穴」は経絡の始点になり、気の流れはそこに外から入って(IN)きます。これらをまとめると次のようになります。

第1指 ●印:少商(しょうしょう)=肺経 (陰経)→OUT
第2指 ●印:商陽(しょうよう) =大腸経(陽経)←IN
第3指 ●印:中衝(ちゅうしょう)=心包経(陰経)→OUT
第4指 ●印:関衝(かんしょう) =三焦経(陽経)←IN
第5指 ●印:少衝(しょうしょう)=心経 (陰経)→OUT
第5指 ●印:少沢(しょうたく) =小腸経(陽経)←IN

ちなみに、第2指にかけているのがDR(ダイオードリング)です。銅線にシリコンダイオードを巻いたもので、気の流れを活性化する作用があります。全体の形状がわかるように横に置いています。実は敏感な方にこれを指にかけてもらうと、指の先がシュルシュルと感じ、それもスパイラル(渦巻き状)に気が動くのが分かるというのです。まさに気が出入りする「井穴」を体感できます。

◆開放系のシステム
本題に戻すと、このように気の流れが指の先端(井穴)を通じて外界と交流している点に、東洋的身体観の基本的特質がみられるように思うのです。西洋医学では、身体をまず外界から切り離して自己完結した閉鎖系(closed system)としてとらえ、つぎにその構造を各内臓に分解してその機能を捉えようとします。これに対して東洋医学では、身体を最初から外界とつながった開放系(open system)として捉え、身体と外界との間の感覚では捉えにくい一種の生命エネルギーの交流、つまり気の吸収と排出が行われている、とみているのです。

気を分類すると以下のようになります。(第02話:「気の医学」の「気」とは―参照) 
『気の分類』
   ○生理的エネルギー:身体の中を流れる気
   ○心理的エネルギー:心と身体を結ぶ気
   ○感応的エネルギー:人と人、人と自然の間で感応する気

人間は身体の中に気が流れていると同時に、さまざまな環境下で外部と気のキャッチボールしながら生きているとみることができます。このダイナミックな気の運動性は、「臓腑経絡システム」が開放系(open system)として機能しているからだと考えられます。

※湯浅泰雄『気・修業・身体』平河出版社(86年)
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