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第51話:或る霊性の高いひとの話

以前治療させていただいた、私と同世代の女性Aさんの話です。
Aさんは、治療中に気の流れを実況中継してくれる不思議な方です。たとえば、私が反応を感じている特定のツボに指をかざすと、Aさんにもシュルシュルと風のようなものを、そのツボの部分に感じます。まさに双方向性の反応を共有できる珍しい患者さんでした。

Aさんは主婦の傍ら、障がい者のためのある運動に永年関わってきました。その強い信念とか気力には、私などはいつも頭が下がる思いでした。お話しをするなかで、大きな器をもった方だと常々思うと同時に、とても「霊性が高いひと」だな、と感じさせる方でした。

あるときは、Aさんは「心包経の人」なので私が「紅色の水晶がいいですよ」と何気なく言ったつもりが、次には、鎌倉小町通りのお店で買ったという紅水晶の手数珠を見せてくれ「これをつけたら人ごみが疲れなくなった」とおっしゃったこともありました。

そんなAさんを治療しながら、既に亡くなっているお父さんのことに、たまたま話が及びました。それがまたびっくりするような内容で驚いてしまいました。彼女が「霊性が高い」のは、きっとご尊父とのつながりにその理由があると直感的に理解しました。

Aさんのお父さんは戦前、軍需産業を代表する大手企業の社員で、設計を担当する技術士だったそうです。赤紙(召集令状)が届き、満州の部隊に配属されます。ところが、戦時下で状況が厳しくなった頃、突然勤務先に戻るよう命令が下され、ひとりだけ除隊し帰国します。途中での除隊命令はかなりのレアケースであり、それだけ軍需産業の技術士として重要なポジションについていたことが想像されます。そのことが、幸か不幸かその後の運命を大きく決定付けます。つまりお父さんは結果的に無事終戦を迎えたわけですが、かつて満州で苦楽を共にした戦友たちは全員戦死したのでした。

Aさんの記憶では、お父さんは戦争の話を家族にいっさい話さなかったそうです。その代わり、いつ頃からか、木を彫りだして何体もの仏像を作り始めます。Aさんの推測では、たぶん戦友の数だけ彫ったのだろうとおっしゃっていました。それらの仏像は今でも実家に置いてあるといいます。それとAさんの嫁入り道具には、お父さんが彫ったお地蔵さんが一体あり、今でも自宅に大事に飾っているそうです。

そうした貴重な話を伺い、きっとお父さんが生前多くの徳を積まれたことが、Aさんの霊性を高めることに繋がっていること、そしてAさんはお父さんにいつも守られているのだろうと、思わずにはいられませんでした。
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