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第65話:養生すべき「経絡」

「加齢」という言葉を好きな人はいないでしょうが、ある程度の年齢になれば、どなたでも身体のどこかにひとつは症状をもつものです。大事なことはそうした症状に対して、しっかり向き合い養生していくことにあると思うのです。

治療家の立場から観察していると、患者さんの抱える症状には、ひとつの傾向があります。それはその方特有の「経絡」に関連しやすいということです。

たとえば、胃の調子がわるいということで来院された、自営業のAさんを例にとってみます。Aさんの主訴は胃にガスが溜まりやすいという症状でした。胃の気がスムースに下へ降りないために、胃に気が停滞している状態。温めると寛解するところから、このところの急な冷え込みがまず原因のひとつに考えられます。身体を診ると、足の胃経のツボにしっかり反応がでています。さっそく全体治療を施すと共に、反応している胃経のツボを使って治療し、胃の不快感を改善します。

そんなAさんが、3か月前に来院した折の主訴が顎関節症でした。痛くて口を大きく開けられない状態でした。実はこのときも胃経のツボを使って治療しています。顎関節周辺のこわばった筋肉は胃経のライン上にあり、そのこわばった筋肉を弛めるツボを探すと、お腹と足背部にある胃経のツボ2か所あり、そこにお灸を施しました。

一般的に顎関節症と胃の症状とは、それぞれ整形外科と内科の症状であり、一見なんの関係もないようですが、これが鍼灸の世界となると、胃経という同じ経絡上の症状として大事な意味をもってきます。つまり、Aさんは胃経上に症状がでやすい傾向にある-という事実です。こうした傾向はAさんに限ったことではなく、これまで多くの患者さんを診ていると、どうもその方特有の「経絡」がいつも治療のテーマになりやすいことがわかります。

冒頭で「ある程度の年齢になれば、どこかにひとつは症状をもつ」と指摘しましたが、その症状とは、その方が歩んできた身体の歴史の反映として浮上したものです。症状がでやすい特有の「経絡」とは、一見弱々しそうで悲しい存在のように思えるでしょうが、実はそうした身体の歴史の反映をしっかり請け負っている大事な「経絡」だと思ってみてはいかでしょうか。となれば、しっかり向き合い大事に養生すべき「経絡」となるでしょうから。
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