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第89話:筋肉をつかう診断法「FMテスト」(2/4)

~「FMテスト」の留意点~

◆診断法の特徴
同じような既存の診断法に「Oリングテスト」があります。被検者に親指と人差し指でOの形をしたリングを組んでもらい、検者はそれをはずそうとしたときの抵抗の度合いを診る検査法です。この場合は被検者の「対立筋」という筋肉を使った検査法といえます。「FMテスト」も「Oリングテスト」と同様に筋肉を媒介にして、身体情報を「Yes」か「No」かのデジタル信号で受信するという点では共通しています。「FMテスト」はそうした意味から「Oリングテスト」の変法と考えてもよいでしょう。

こうした診断技術は、手指の微妙な感覚を駆使するというのが特徴です。逆にいえば、個人的な感覚に偏ってしまうと、思い込みが先走る危険性もはらんでいます。あくまでも客観性に基づく高い精度の検査方法に確立するまでには、それなりの創意と工夫が必要です。今回は、これまでの試行錯誤から見えてきた「FMテスト」の留意点を以下のようにまとめてみました。

◆「FMテスト」の留意点
①右手の触診技術
「FMテスト」で一番難しいのが右手の触診技術です。先に述べたように、右手指(第2~4指)を患者さんの左腕橈骨筋に当て、親指(第1指)を下から挟むように支えます。筋肉の走行に対して直角方向に軽く「グリッ・グリッ」と硬結を弾くように触診します。(【写真B】
この場合、左腕橈骨筋の硬結を「1・2」のリズムでゆっくり揺するのですが、そのとき掴んでいる硬結は揺すりながらも絶対に逃がさないことです。初心者にとってはこれが意外と難しい点。これが習得できないと、「弛む」「弛まない」というデジタルな信号を的確に受信できないのです。よって、右手の触診技術をしっかり習得することが「FMテスト」にとって最も大切な基本といえます。


                   【写真B】

②指の極性
センサーである左手指は、「指の極性」を考慮して「N極」の指を使用します。したがって施術者が男性であれば中指(第3指)、女性であれば人差し指(第2指)を使います。「指の極性」については『第46話:「磁石」と「指の極性による触診技術」』を参照してください。

    男性の施術者 ⇒ 左中指(第3指)
    女性の施術者 ⇒ 左人差し指(第2指)

さらに、ツボ(経穴)を触ったときの、N指とS指では、センサーの入力情報の質が違います。たとえばN指で触ったときに「適(Yes)」と出れば、それは「虚のツボ」で「補すべきツボ」であり、S指で触ったときに「適(Yes)」と出れば、それは「実のツボ」で「瀉すべきツボ」と捉えられます。このように「FMテスト」には、「N指」と「S指」の2種類のセンサーを使うことで、虚実の診断にも使えます。

    「N指」 ⇒ 「虚」の反応を受信
    「S指」 ⇒ 「実」の反応を受信

③フィルターとしての「知識と理論」
筋肉を媒介とした診断技術の「FMテスト」は、単に技術を習得すればよいわけではありません。センサーの左手指からの入力情報から、テスターの右手指による出力結果に至るプロセスには、施術者がもっている「知識・理論」というフィルターが必ず介在します。逆に「知識・理論」という判断材料がなければ、「FMテスト」は機能をなさないといえます。

   センサー(左手指)⇒ フィルター(頭) ⇒テスター(右手指)
   《指からの情報》    《知識・理論》   《筋肉からの応答》

したがって、経穴とか経絡理論などの専門的な「知識・理論」を潤沢にもつほど、「FMテスト」の診断精度は向上します。さらに、専門的な「知識・理論」が広範囲に渡るほど、「FMテスト」の応用範囲もより広くなるといえます。

④思いこみの排除
感覚的な診断法ほど、施術者の思い込みが発生しやすいことは先に述べました。その短所を補う対策としては、他の診断法と組み合わせて2重にチェックすることです。これを確認診断といいます。たとえば先の【写真A】のケースならば、「FMテスト」で割り出したツボ「太白」が本当に正しいかを「腹診」でチェックします。脾の診断点である「臍部(さいぶ)」を右手指で軽く押圧すると、患者さんが痛み(圧迫感)を感じることを確認します。次に、左手指(第3指)でツボ「太白」を軽く触れた状態で、同じように「臍部(さいぶ)」の押圧による痛みを診ます。すると患者さんが「痛くなくなった」といえば、このツボ「太白」の取穴で間違いないわけです。このように感覚的な変化を施術者と患者さんが共有することは、正確さを確認するだけでなく、患者さんの信頼を得るという意味合いにおいても、とても大切なことです。          (つづく)
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