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第91話:筋肉をつかう診断法「FMテスト」(4/4)

~経穴図やチェックシートを使う~

◆「意念」の限界
センサーである左手指(第3指)を直接ツボなどに触れなくても、「意念」を使えば左手指をかざすだけで「触ったつもり」として同等の応答反応を得られます。但し、「意念」というのは一定の意識を持続しなければなりません。調べる項目が多いとそうそう持続はできないもの。しかも複数の患者さんを連続で診るときは、前の患者さんの応答反応を引きずりやすく、次の患者さんの診断に影響がでてしまいます。ですから「意念」を使う「FMテスト」は極力少なくしました。(「経絡診断」のみに使用。)
そうした問題を補い安定した方法へと考えたのが、今回紹介する経穴図やチェックシートを使うやり方です。

◆経穴図を使う

                   【写真D】

上の【写真D】をみて下さい。患者さんの左傍らにあるのはA5版の経穴図。センサーである左手指(第3指)を直接ツボに触るところを、経穴図上のツボを触ります。図を使うことで「意念」を維持できることから、いわば「準意念的」なやり方といえます。先に説明したように、左中指(第3指)と左人差し指(第2指)の、それぞれ「N指」と「S指」を使い分けることで、ツボが「虚」なのか「実」なのかを判別できます。たとえば、「膀胱実」の急性腰痛(ぎっくり腰)において、腰部の「関元兪」が「実」しているとした場合、その遠位の足のツボである「崑崙」とか「金門」などが同じく「実」していることが、経穴図上のそれらのツボに「S指」で触ることで「適(Yes)」反応を以て確認できます。

◆チェックシートを使う
次に、経穴図から発展して、診断内容をまとめたA5版のチェックシートを使うやり方です。複数の診断項目が書かれた文字に、センサーである左手指(第3指)を触れて応答反応を比較しながら診ます。このやり方は、以下に示す「気のありよう」と「情志のありよう」の診断に使っています。尚、診断で浮かび上がった「気の流れ」と「感情」の様子は、さらに経絡や臓腑との関連と合わせて分析していきます。

①気のありよう」を診る
幸田露伴が『努力論』で説く「気を張る」を中心とした「気のありよう」の診断。
(『第62話:露伴が説く「気を張る」こと』を参照)
     「気が散る」「気が凝る」「気が張る」        
     「気が逸る」「気が亢る」「気が弛む」 

②「情志のありよう」を診る
  《七情に対する診断》:古典にみる7種類の感情を診断       
     「怒りの感情」「悲しみの感情」「思いすぎ・考えすぎ」
     「恐れの感情」「喜びすぎの感情」「驚きのショック」「憂いの感情」 

  《詳細な感情の種類》:さらに細かく分析するために用意した項目
     「心配・不安症」 「悲しみ・悲観」 「怒り・怒りっぽい」
     「孤独で寂しい」 「苛立ち・いらいら」「恨み・妬み」
     「不信感・猜疑心」「否定的考え」 「ひがみ」    
     「うつ・落ち込み」「自己陶酔」 「自己攻撃・自己破壊」  

◆結び
鍼灸医学の魅力を世に紹介した人物として、忘れてはならないのが医師の間中喜雄(1911~1989年)の存在です。専門学校時代に読んだ『体の中の原始信号』は、特に影響を受けた本でした。その中に―わたしたちの身体には、音、色、形、磁石などが発するごくわずかな信号に対して、しっかり反応する回路をもっている―と説いています。現代科学では説明できないこの不可解な回路を、間中は「X-信号系」と名付けていました。

「鍼灸」も微細な刺激の信号として身体に入力されるという点では、音、色、形、磁石と全く同じこと。また「FMテスト」で使うセンサーの左手指(第3指)が触る「ツボ」や「漢字」などから入力する情報は、同じく微細な刺激の信号であることを実感しています。間中が提唱したこの「X-信号系」を考えることは、身体がもつ未知なる可能性を論ずるだけではなく、とりもなおさず鍼灸の可能性にまで波及する期待があります。

オリジナルの診断法「FMテスト」を初めてもう20年近くになろうとしていますが、結局考え方の原点は間中喜雄の『体の中の原始信号』にあると思っています。日常の鍼灸治療を通して「身体がもつ未知なる可能性」に触れながら、「FMテスト」を身体の声と会話ができる―ひとつの診断技術へと、さらに磨いていきたいと考えています。   (完)

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